第1回:暗号通貨界隈ガチ勢に会いにいく

2018.10.23

furusake-s

連載開始のご挨拶

こんちには、BCHNews編集長のfurusake-sです。
10月も後半に入り、平成最後の夏は終わったようですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?私は暑さが和らいだ時期を見計らって大阪や東京を行ったり来たりしつつ、家族と穏やかな毎日を過ごしていました。

普段から都内にいるときは暗号通貨界隈の知人と交流する機会(勉強会とか、ミートアップとか、カンファレンスとか)を設けているのですが、界隈の近況を面白おかしく話し合いつつも、特定の個人とそれ以外の場所で交流するといった機会はあまりありませんでした。

BCHNewsを立ち上げた当初から計画していた連載企画として、インタビュー系の記事を書いて読者の皆様に暗号通貨界隈の魅力をお伝えしていきたいという想いがありましたので今回、『暗号通貨界隈ガチ勢に会いにいく』というシリーズでインタビューを行ってきました。

取材対象者がガチなのか否かについての線引はとても曖昧なものだと思いますが、編集者の個人的な印象、普段からの言動からなんとなく『ガチやな』という雰囲気を醸し出している方々にオファーさせて頂いて、かつ企画の趣旨をご理解、かつご協力頂ける方へ取材していこうと思っております。

なお、インタビュー系連載を続けていくなかで、暗号通貨界隈のガチ勢が出尽くしてしまう、あるいはその他諸般の事情でガチ勢への取材が続けられなくなる可能性に備えまして、別途、裏企画として『暗号通貨界隈ニワカ勢に会いにいく』も並行して執筆していきたいと思っておりますので、暗号通貨界隈ニワカ勢の皆様よろしくお願いいたします。いやむしろニワカのほうで出てみたいです、なんとなく目立ちたいので生まれて初めてインタビューされてみたいですという、ワロスに対する理解があって、かつ懐の深い方がいらっしゃいましたら私のTwitterアカウント、白井ななと( @7bunnies_bot )までDMをお願いいたします。

さいごに、本企画、くれぐれも『仲良く』行きたいと思っておりますで、読者の皆様も何卒ご協力のほどよろしくお願いいたします。

暗号通貨界隈ガチ勢に会いにいく

というわけで、さっそくガチ勢に会いにいきましょう。
JR山手線に乗って都内某所の待ち合わせ場所に向かいます。普段、降りない駅って新鮮ですよね、こういう機会でもないと味わえません。私は昔、メーカーの営業をやっていた時期がありまして、この駅に降りるのはおそらくその時期以来、約10年以上ぶりくらいでしょうか。約10年以上ぶりって日本語おかしいですよね。すいません。

駅を出て徒歩数分、待ち合わせ場所に着きました。待ち合わせ時間は11時30分。
ぎりぎりになってしまいました、遅刻しなくてよかった。

小洒落た店内は微かなトマトソースの香り、落ち着きのあるBGM、ランチのピーク時間がまもなく始まろうという店内に今回のゲストがお待ちいただいておりました。
 

「あっ、こんにちは〜〜」

????? 「どうもどうも〜〜」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
(緑一色(リューイーソー)!!!)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

(狙っているのか・・・)


(画像引用元:哲也〜雀聖と呼ばれた男〜 原案/さいふうめい、漫画/星野泰視 販売:株式会社 講談社
 
 
 
こ(そ)れ以上いけない。
個人ブログのようなノリはいけない。
ダメです。でもですよ、ありとあらゆる物が緑だったんですよ。徹底されてました。
 
 
 
画像ではわからないのですが、眼鏡のフレームも緑で、その他スマホケースなども緑だったような気がしています。(現場で緑一色(リューイーソー)と叫んだわけではないことを付け加えておきます。)

ランチインタビュー開始

 
(色々とお話しましたが、テンポを良くするためにファクト以外の部分は少し編集しております。)
ランチメニューを注文し、インタビューをはじめることに。
 

自由さんの話

 
どんな人でしょうか。
 

「今日はよろしくおねがいします。小宮自由です、自由(じゆう)と呼んで下さい。」

「よろしくおねがいします。じゃあ早速、自由さんが暗号通貨を知ったキッカケとか、今どういうふうに暗号通貨と関わっているのかとかそのへんから教えてもらえますでしょうか?」

「結構前からビットコイン持ってました。当時オランダで働いてたんですけれど、2年前くらい。コインチェックが色々な仮想通貨を売り始めてて、そういうニュースを読んでちょっと話題になってました。分散型の仮想通貨面白そうだなと、もともと中央集権的なものがすきではなかったので。」

「リバタリアン的な?あれですかね。」

「リベラリズムですね。再頒布は否定していないので。もともと作家になりたかったんで、表現の領域に関しては結構勉強してて、著作権法とか国の表現規制の制度とか、弁護士とかにもなりたかったんで(笑)」

「ふふふ(笑)」

「(笑)順番としてはまず漫画家になりたかったんですよね。でも10年くらいやっても全然うまくならなくて、そのうち学業の成績のほうが上がってきたんで諦めて、それでまぁゲームクリエイターになろうと思って、任天堂すごい入りたかったんですよ、スーパーマリオブラザーズとかよく遊んでたんで。ファミコンやって育ったんで。」

「僕もそうですわ。」

「それで、元社長の岩田さんと同じ大学と学部いったんですけど、落ちて(笑)任天堂には。悲しいなぁ(笑)」

「まぁ、好きな人いっぱいいますからね任天堂は(笑)」

「なんでIT系の企業に入ってしばらくやってたんですけど。20代の頃は将来どういうふうに生きていこうかなって迷ってて、任天堂にも受からなかったんで。僕が働き始めてしばらくして、20代半ばくらいに法科大学院制度が本格的に運用始まって、ちょっとそっちの方いってみようかなと思って東大のに入ったんですけど、結局はドロップアウトしちゃいました(笑)」

「卒業はしなかったんですか?」

「そうですね、未来が見えなかったですね。どうしてもエンジニアと比較しちゃって、エンジニアの所得って上昇してるじゃないですか、人工知能とか、ブロックチェーンとかで、はっきりいって法律よりも強いじゃないですか。会社の評判が悪かったら採用活動しても人(エンジニア)が来ないって話もあるくらい、業界にもよるんですけど、今はソフトウェア系のエンジニアの方が交渉力が高いので所得は上がっていくわけですよ。弁護士は基本的には日本でしか活動できないし、海外で働こうと思ったら別の資格を取らなきゃいけない。時間とコストがかかるし難しいわけです。法科大学院を3年で卒業した後に司法試験を受ける。仮に試験を一発で受かっても司法修習生というのを1年間やらなければいけない。よほど優秀な人でもない限り5年くらいかかるんですよ。司法修習生も昔は給料もらえたらしいんですけど、今は人が増えすぎたんで無給(※2018年現在、給費制は復活:月13万5000円)、そうなると5年間所得がないと、(中略)、それはさすがにきついと思った。その点エンジニアはすぐになれる。基本的な素養があれば。エンジニアリングの自由な部分に惹かれて戻ってきたという感じ。法律は今でも好きなんですけどね、諦めました。それに法律は中央集権的、どうしても。(諦めるの)結構悔しかったんですけどね、だから今でもそっちのサービスをつくったりとかしてみたい。版権管理をブロックチェーンでやるっていうサービスもあるし、そういうのを将来できればいいなと思っています。」

「なるほどなるほど。」

「アメリカに行こうと思ってたんですよ、アメリカのIT企業に入って働いて、永住ライセンス取った後に起業しようと思ってて。でもビザの取得がすごく難しくて、(中略)、日系のアメリカに支部のある企業に入ったんですけど、やはり(アメリカ行きの)ビザを取るのは難しくて時間かかるから、取れるまでの間オランダ支部があるからそこで働いてくれと言われて、働いてる間にビザの手続きをするから待っててくれと。当時のオランダはビザが取りやすかった、でも1年くらい働いてもアメリカのビザがもらえなかったんで(笑)、問い合わせたらどうも話が止まってたらしくて(笑)」

「(笑)オランダでは何してたんですか?」

「ソフトウェアエンジニアです。Webアプリケーションの開発をしてました。その時に人工知能の研究してる企業の手伝いを副業でやってたんですけど、リモートで。そこから一緒に働きませんかと誘われて、ヘッドハントされる形で日本に戻ってきました。日本帰ってきたらどう?って。給料も良かったんで(笑)計算したら4倍くらいだったんで、4倍なら行こうかなって(笑)」

「ふふふ(笑)」

「オランダにいたときから暗号通貨に興味もってて、コインチェックの話とかで、それでいつかはジョインしたいなと思ってたんです。それで、今で言う古参の人と会って色々と話してて、フラットな感じでやってて。それでビットコイン買ってみようかなと思って。とりあえず。そしたらなんかすごく値上がりして1千万円くらい儲かったんで(笑)、当時瀑上がりのときだったから、それで調子乗ったわけじゃないんですけど勢いついて、すごいなと、儲かったのも嬉しかったんですけどこんなに注目度が上がってることもすごいなと思って、なのでこっちでいつか働きたいなと思ってて、その時日向さんがやってる会社(フレセッツ)の求人を見かけて、一緒に出来ることになったので今はそこで働いてます。」

「結構最近の話ですね、フレセッツということは。」

「1年くらい前の話です。1年弱くらい。自分の個人会社も持ってて、そこは漫画を出してて、フレセッツは週3なんで、他の日には自分の会社で漫画を作ったりとか、最近ではライトニングネットワークとかさわったりとか、なので仕事としては99%近く仮想通貨、ブロックチェーン系ですね。漫画はちょっと違うんじゃないかって思いますけど、一応ブロックチェーンを題材にしてるんでまぁ(笑)入るといえば入るよねと(笑)そんな感じでやってます。」

【自由さんの略歴】
福岡県生まれ、東京工業大学卒。
幼少期は漫画家やゲームクリエイターに憧れ、学生時代は弁護士を目指したこともあるが、自由度の高いITエンジニアとしてキャリアをスタート。
現在はフレセッツ株式会社でITエンジニアをやりながら、自身が立ち上げた企業でブロックチェーンをテーマに持つファンタジー系のマンガ「Green Chain」を知人と共同で制作している(作画担当の富嶽かずやは静岡県在住。暗号通貨読書会/勉強会の宣伝漫画を始めとして、複数のブロックチェーン系漫画の制作をしている)。同企業はライトニングネットワークによるコンテンツビジネスも行っており、加えて公式サイトや原論文の翻訳も手がけている。

 

制作している漫画の話

 
話は制作物の話に移ります。
 

「漫画の話おねがいします。」

「漫画はえっと、まず、最初に話したとおり漫画家は子供の頃からの夢だったんですけど、仲の良い漫画家の友だちがいるから色々話してみて一緒に作ろうかという話になって、僕は話を考えてその人に画を描いてもらう。この前も沼津にいってきて、静岡に行って打ち合わせをしました。1話ずつ打ち合わせをしています。コンセプトとしてはファンタジー漫画で、投資とか、歴史とかじゃないブロックチェーンの漫画を描こうと思って、(中略)、独自の話を作ってやってます。」

「連載というか、ストーリー自体は出版されてるんですか?今何回目とか。」

「いま2話まで公開してて、4カ国語対応していて、最近台湾語と中国語のが出来たんで、それの公開作業をさっきまでしていたところです。出版は考えてて、最初から出版できるようにデータを作っています。データでも売れるし、製本も出来るようにしています。国際展開を考えているので、カラーで、白黒ではなく、白黒は日本人しか読めないので、慣れてないとわからないんですよ他の国の人は、なのでカラーで。あとは横読みになってます。日本の漫画って縦読みじゃないですか、ジャンプとか。縦読みで右から左に流れるからコマもそういうふうに流れていく。英語は左から右じゃないですか、なので日本語に合わせて作ると変になっちゃう。視線が、違和感があるんです。なので日本のマンガを海外に出すときは逆にしたりすることもあるんです。結構手間なんですけど。最近はしないこともありますが。なので最初から英語圏のコミックに合わせて作っています。すごく悩んだんですけど慣れたら日本人でも読めるのはわかったんで。なので売れるかどうかはわかりませんけど国際展開は出来るようになっています。対応言語は、日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、あとフランス語の追加を検討しています。まもなく3話が出るところです。ちなみに3話はモナコインの話なんで(笑)、期せずしてタイムリーになりました。(Zaifのモナコイン流出の一件に関連しての意)中身に関しては話すより実際に読んで頂いたほうが良いですよね。後でリンク送ります。」

「ありがとうございます!」

漫画の表紙のみをご紹介しておきます。中身は下のURLから読むことが出来ます。



漫画URL:https://manga.green/

 

好きなコイン、推しコインの話

 
ガチ勢が何を推しているのか気になりますよね。
 

「好きなコイン、贔屓にしているコイン、リベラリズム寄りな考えがあると思いますが言うても推しコインあるだろうと。懇意にしているコイン、技術的な話も絡めつつ、1つコイン推してもらえますでしょうか?」

「はい、僕は割とそのへんは現実的に考えていて、ビットコインですね。いくつか理由があるんですけれども、1つはDeveloperが一番多いということ。情報が得やすくて勉強がしやすい。論文も質が良いのがどんどん出るから、自分の時間を投資するには効率がいいなと思っています。あとは、似たような理由なんですけど、(アルトコインは)いっぱいあり過ぎて(笑)1つしか出来ない。しばらくやってて思ったんですけど、どんどん次から次へと出てきて一人でやるのは無理です、追いきれない。なので興味はあるけどやってないです、ブレちゃうんで。あとは思想的な話にもなりますけど、自分は仮想通貨を使うなら決済だけに使うべきだと思ってるんですよ、それを何でも出来ると言うんだったらスケーリングの問題も出てくるし、あとは原理的な問題。スマートコントラクトの一般的な問題として執行力が部分的にしか担保出来ないという問題があって、例えばECサイトで物を買って、スマートコントラクトで手続きが出来たとしても実際に物が引き渡されるかどうかというのは現実の問題じゃないですか、この辺りの問題はスマートコントラクトでは解消できないので、おそらくそういう事例のほうが多いと思うので、結局ICOで資金調達してもその人達が実際にやるかやらないかというのは現実の世界の話になるので、それをスマートコントラクトでは解決できないので、あまり筋が良くないのではと考えています。デジタルコンテンツくらいなら良いかなと思ってるんですけど、それもデジタルコンテンツの中身が虚偽であるっていうことは、イラストとかを例に取ると人間が見ないとわからないじゃないですか、それを自動検知するのはものすごいコストがかかるので、なのでスマートコントラクトはすごい面白いんですけど、スケーリングやバグなど色々な問題を抱えながら広げるのはちょっと大きくし過ぎなんじゃないかと思ってます。個人的にはSteemitとかもやってるんですけど、あれもコンテンツ配信と仮想通貨をつなげているものじゃないですか、ちょっとサイズが大きすぎるなと、いろいろと使ってて、自分もアーティストの端くれとして使ってみて、普通のアーティストの人はこれ使わないぞと(笑)投資とかに興味がある人しか使わないよって、現にアートの記事とか少ないんで。結局、Steemでもマイニングする人とかハードを提供している人を信用するのが前提なんで、それだったらビットコインでやって、サーバー建ててやればいいじゃんっていうふうに思ってます。混ぜると色々な問題が出てくるので、なので仮想通貨使うなら決済だけに特化するのがいいんじゃないかと思っています。その点をシンプルに考えているビットコインを推しています。将来的にやりたいことも後ほどお話しますけど、ビットコイン、ライトニング、限定会計がシンプルでいいなと思ってビットコインを推しています。」

「投資対象としてコインを見た場合、これまで色々なポジションの遍歴はあると思いますけど、主にビットコインを持ってて年末(2017年末)のパンプで儲けられたということでしょうか?」

「去年の年末のパンプではむしろ損してて、それ以前に利益を上げたという感じです。投資は今は考えてないですね、素人だしあまり好きでもないので、儲かればそりゃ好きですけど(笑)」

「モナコインはお持ちなんですか?」

「もってないですね、今1個草コイン買って爆死したのがあるんですけど(笑)それ以外は持ってません。それは爆死したから売れないだけで(笑)売る気力もおきないだけで、なので他は持ってないですけど、今は必要ならその時にメインネットのやつ買って、それ使おうかなってそれくらいの感じです。」

「じゃあ特にわざわざコイン買って飲食店で使おうとかそういうのはしない?検証とか、必要最低限のニーズに応じて取引所とかで買ってると?」

「そうですね、僕は思想というか、ユーザーに便利なもの作りたくて、自分自身もユーザーとして考えてるんですよ、なのでユーザーとして現金のほうが便利だと思ったらコインは買わないし、そういうユースケースないから使ってないってだけですね」

「先程のコンサバな考え方の話を聞かせてもらってるので、そうなるでしょうね。」

「現実的な話なんですよ、自分が使っても全体は動かないんで、そこでこう遊んだりするよりかは、現実的にサービスを作って世の中を動かして、自分も使いたくなるサービスにしていきたいって感じですね。今あるのを使いたくないわけじゃなくて、今使っても時間の無駄になるだけなんで、自分だけが使っても、ただ将来的にはそうなると思うので、それを自分がやりたくて、だから自分でも使いたくなるようなのを自分で作らなきゃダメだなと、そういう発想ですね。」

 

自分が使いたくなるサービスとは?

 
具体的に聞いていきます。
 

「先程の自分が使いたくなるようなサービスを作りたいという話がありましたが、具体的にどういうのが作りたいとか、構想があれば話せる範囲で構わないので、いまライトニングが現状どういう状態だとか、ライトニングを使うとして自由さんなりの意見とか、いま直面している問題を自分ならこう解決するぞとか、こういうところが足りないんじゃないのかとかのを少し、根拠なくても構いませんので話して下さい。」

「いまは、僕もまだ勉強中なんですけど、論文も読んでる最中なんですが、まだ黎明期、というか黎明期以前の問題ですね(笑)8千万円くらいはみんなdepositしてるんですけど、(ライトニング)ネットワーク監視したら。まぁ大したことないじゃないですか、そこそこ持ってる人がいたらそれくらいいくので、流通しているかっていうのは別の話で、ネットワークにのってるだけなので、試しにのせてみようって人が世界中にいて、それが集まった数字、たいしたことない。」

「ライトニングネットワークのキャパシティの総量の話ですよね?」

「そうです、セカンドレイヤーにファンドされている感じ。プロトコル自体がまだ1年半くらいしか経ってないので、策定中だっていう。なので僕もこの前ハッカソンに出て優勝したんですけど、その時に思ったのは(やっぱりまだ)作りにくいなって、なんでこんな簡単なことが出来ないんだろうって(笑)」

「ハッカソンでお題を与えられて、なんか作るわけですよね、その過程で感じたことは単純にちょっと複雑というか、難しかったと。一旦、ハッカソンの話は後でお伺いしますけれど。」

「そうですね、なのでまだソフトウェアが揃ってないっていう話もありますけど、それとは別にプロトコル自体がまだ未成熟、まだ色々と話し合いがあって変更されると思います。それをclightningやlndとかがそれを反映してみたいな、まさに策定中っていうか黎明期以前の状態、作ってる最中って感じですね(笑)なので何も動いてないっちゃ動いてないですけど、作るのがハードすぎて、試験運用だからまともに動くかわからないって話になったら普通の企業は動かないじゃないですか、リスクが高すぎるから。でも仕様策定の問題って結局使う人が多くなって活発に議論していけばいずれ解決する問題なので、そこは今後1年くらいでなんとなく良くなっていくんじゃないかなと思ってます。あとはよくインターネットとブロックチェーンは似てるって話がよくされると思うんですけれど、類似してる部分があると思ってて、例えばインターネットはブラウザがキラーアプリになったって言われてて、Netscapeのブラウザが出てきて、それで人がカジュアルにWebサイト見れるようになったから、それまで研究者向けだったのが爆発的に広まったっていう、そういう世界的に流行らせるにはキラーアプリが必要だっていう、ライトニングもキラーアプリが早くても2年位で出てくるんじゃないかなと思ってます。あとはみんなそれを使いだして、どんどん流行ってくみたいな。ただ、それが出るまでは細々とやってくしかないなと、そういう感じで思ってますね、仕様とかの議論しながら。」

(ランチもぐもぐ…)

「僕は中期的というか、10年くらいでやりたいと思ってるのは決まってて、分散型のコンテンツ配信システムを作りたいと思ってるんですよ、要は、決済はもう分散化されてるじゃないですか、ライトニングとかビットコインを使えば。でも、配信の部分はどうしてもYoutubeとか、Kindleとか、分散化されてなくてセントラライズじゃないですか、それをうまいこと分散化させて誰でもサーバーを建ててコンテンツ配信の中継サーバーとして協力できるようになる。で、追いてあるデータに対してお金を払って、データの通信量なんかも課金対象としてコンテンツ自体の料金にプラスして、それをライトニングでやる、要は、サーバーをホストする人たちのインセンティブは通信した時にデータありがとうっていってお金がもらえる。っていうシステムって、うまいことライトニング系の仮想通貨とP2P分散ソフトがあれば出来ると思って、それを作りたい。10年くらいで、他の誰かがやるかもしれないですけれど。そういうのをやりたいと思っています。なぜやりたいかっていうと・・・」

 

コンテンツの検閲について

 
話はコンテンツの検閲の話に向かいます。
 

「これは自分の考えとしてまとめて今後色んな所で話していこうと思ってるんですけど、まぁ自由の問題ですね、主に検閲をすごい気にしてるんですよ、Amazonとかに電子書籍とか出してたことあるんですけど、やっぱりよくわからない理由でブロックされたりとか、ブロックっていうのは要は作り直せっていう、Amazon用語なんですけど、あとはネットで見てたらこれまでOKだったのにいきなりブロックされて、問い合わせてもテンプレしか返ってこないとか、Youtubeとかでも自分で動画とか上げてたらどっかの権利団体とかに人権侵害だとかいって、その人と全く関係がないのに動画が消されるとか。やっぱり中央集権的にやってるとそういうことが起こりうる、やっぱり彼らは利益を上げる団体なんで、訴訟沙汰とかになりそうなら消すじゃないですか、コンテンツを。そういうのがあるからヤダなってのもあるし、あとは個人的な思想で、検閲じゃなくてフィルタリングで対応しようと思っているんですよ、ここでいう検閲は憲法とか、公権力というか行政権がある検閲っていう意味じゃなくて広くこう、これを出すなっていう全般的な意味で言ってます、後から消したりとか。全部見られていいけど、ただ見たくなかったり見せるのが都合が悪かったらクライアント側でフィルタを書けたら良いのではと思っています、例えば小学校とかでアダルトコンテンツを見られたらそれは問題だからネットに繋ぐ際にホワイトリストのソフトを入れるみたいな、それを学校側が決める。それは学校が決めていることだから、まぁいいと。権力者が検閲できるようになると、その範囲がどんどん肥大化していくっていうのが歴史上よくあることです、とりあえずあると面倒くさいものを規制するみたいな、なっちゃうんです、そういうふうにまぁ暴走しがちなんで、そもそも検閲とか表現の自由とかってそういう恣意的なブロックを存在させないためにあるんですけど、最近の人はそういうのあまりわかってないので、多数派の幸福にならないものは規制しようっていうふうに言ってる人いますけど、それは憲法の解釈が間違ってるわけですよ。むしろ少数派の、こんなの誰も見ないっていうようなものを保護するのに表現の自由の意味がある。要はそれを規制し始めたら少数派の部分が全部消されちゃうから、最終的にそういう強力な規制に関する権力を持った政府は多数派も規制するってのが歴史上わかっているので、それをさせないために歯止めとして、検閲はダメとか表現規制は慎重に行わないとダメとかあるわけですよ。今の時代ってテクノロジーがあるからフィルタリングって出来るんですよ、昔はできなかったからある程度中央集権的な検閲も肯定できたんですけど、いまは出来るので、だから学校がそれは良くないと思ったらフィルタリングすればいいと思うんですよ。そうすると論点がハッキリするわけです、要はそのフィルタリングしているところが、実はポルノじゃなくてアートだったと、アートとみなされるものだったと、それを規制するのは子供の教育に逆に良くないんじゃないかと、それを議論すればいいと。範囲を小さくしてフィルタリングをしたらたしかに、学校がフィルタリングしたら生徒はたしかに知る権利が侵害されたと言えますけど、それは学校がそれをやっているという点で論点が明確になるんで曖昧にならないわけです。検閲からフィルタリングへの移行は技術的にはもうできるのでやるべきだと思っていて、それを自分でやりたい、そういう時代が来てほしい、前例を作りたいと思ってる。その前提技術としてライトニングのようなマイクロペイメントの技術が必要だからやってる感じです。」

 
(中略を入れようかなとも思いましたが、紙面に制約のないネットの記事ですし、検閲に対する考え方に暗号通貨ガチ勢としての姿を見たのであえて原文に近い形で掲載しておきます。)
 

ハッカソンの話

 
ライトニングハッカソンの話を伺います。
 

「先程話に出ていたハッカソンの話お願いしてもいいですか?」

「日本で最初に開催されたライトニングネットワークのハッカソンです。HashHubで開催されたやつです。」

「どういったお題で、どういうものを発表というか、アウトプットして優勝したんですか?」

「お題は広くて、ライトニングネットワークを使ったアプリケーション、です。ただ、現状だと作るのにものすごく手間がかかるので、ライトニングの決済サーバーは予め用意してもらっていてそれを利用しました。僕らは漫画の決済サービスをつくりました。どういう決済サービスかって言うと、例えば漫画を1ページ毎に1円払うとか、ページを読むたびに払う、読んでて途中で面白くないなと思って止めればそこで終わりみたいな。それに加えて、読みながら応援できる。いいねボタンみたいな、ハートマークのボタンを作って良いなと思った時にガーッと連打できるような、あとキャラクターに投票できる、キャラクターの顔があってこの子かわいいなって思ったりした時にポチッと押すと投票されるみたいな。全キャラがエントリーしていて、推しキャラを上位にあげたいと思ったら連打するみたいな(笑)ボタン一回1円みたいな、そういった遊びながら読めるみたいな漫画アプリを作りました。」

「週刊誌とかでもハガキとかで人気投票ありましたよね。」

「アンケートとか面白くて、あれのためにジャンプいっぱい買って送りまくるみたいなね(笑)」

「そういったところに元々漫画好きだった部分が表現されてる感じですね(笑)」

「なんかアレすごいですよね、人気キャラランキングとか、雑誌に1個投票権がつくやつとかね、雑誌を100冊くらい買って・・・(笑)」

「大人がいる!(笑)」

 

作ったサービスの話

 
具体的な話を聞いてみましょう。
 

「どれくらいできたんですか?その、目標としてた期間内に作るっていう計画と、それがどれくらい実現できたのかとか、途中経過とその後プレゼンで残りを話したのかとか」

「丸2日やって、30~40%くらいですかね(笑)やっぱり基本的に作るの初めてってのもあるし、ライトニングって難しいなって感じたのもあるし、あとはプレゼンでカバーした感じですね。まぁ全グループ出来てなかったですね正直(笑)やっぱりやってみてまだまだハッカソンでサクッと作るのは難しいなってのを感じましたね。チームメンバーは当日初めて顔を合わせた人たちだったんですが、皆さん得意分野が運良くわかれていて、魅力的なプレゼンを作れる&できる人、ライトニングノードを立てるのが上手い人、アプリ開発に慣れている人がそれぞれいたので、それらがうまく混ざり合って優勝することができました。一人の力ではできないことを達成できたので、チームメンバーには本当に感謝しています。」

「ちなみに、技術的な話なんですけど、どういう言語で実装されたんですか?決済にライトニングを使うとして、インタラクティブな通信周りとか、あと漫画を見せるUI部分は何で書かれたんですか?普通のWeb系のスクリプト系言語で書かれたって感じなんですかね?」

「まず、今回ライトニングの方は用意してもらっていて、BitcoinCore開発者のニコラが作ってるBTCPayっていうサービスがあるんですけど、それがサーバーとしての機能を持ってて、そこにlndっていうライトニングクライアントが入ってて、それをGRPCっていう規格で叩くとデータを返してくれる。それをまず使わせてもらいました。それを叩くようなモジュールがNodeJSで公開されてて、それを組み合わせてサーバーサイドを完成させました。フロントサイドの漫画を配信するのもNodeJSで作って、Expressを使いました。ここで漫画を見たいって通信が来ると決済の通信が始まるみたいな。BTCPay+NodeJSですね。自分は最近ほとんどNodeJSですね、ずっとVue.jsを使ってやってるんで。今後のアプリを作る際のテンプレみたいなのを作ったんで、それでライトニングアプリをたくさん作っていこうかなと思ってます。いまは投げ銭アプリとか考えてます。」

「他の参加者の発表とかも聞かれて、なにか印象に残るような発表とかあれば教えて下さい。」

「そうですね、カヤックがチームで参加してたんですよ、会社のメンバー四人くらい連れてて、ずるいなと思ったんですけど(笑)だって、なんか、まぁ、僕のところが優勝したのは技術力よりも独創性の方を評価してもらったからで、技術力はまぁ即席チームだったんで、カヤックのほうが圧倒的にありましたね。そこはYoutubeとかの有名人と1秒いくらでお話ができるといったサービスを発表していました。とてもお上品な感じで(笑)よく出来ていました。さすがサービスを数多くローンチしてるだけあって、とても洗練されていました。」

サトシナカモトの本を翻訳した話

「仮想通貨でバーっと儲かった時に、なんか還元したいなと思って本出したんですよ。当時はサトシナカモトの関する情報はあまりまとまってなかったんですよ、みんな投資ばっかしてたから。でもそれ知りたいなって思って知り合いに聞いたりしたら、なんかこういう本があるよって、英語の本を教えてもらったんですよ。『The Book Of Satoshi』っていう。で、どういった本かって言うと、サトシナカモトとそのフォロワーたちがBitcoinForumとかで話し合ったログとか、あとサトシナカモトが個人的にメールをしてたりしたその内容とかを全部収集して、時系列とかジャンル毎にまとめた記者が書いた本があるんですよ。プロの記者がまとめた本だし、よく出来ていて公益性もあるなと思って、記者に連絡して翻訳の許可をもらいました。それで翻訳した本を出しました。翻訳、超大変だったんですけれども(笑)一人が書いた文章じゃないから、文脈とかわからなかったりするし、Forumって掲示板みたいなものじゃないですか、唐突に信託の話とか出てきたりするし(笑)なので、翻訳自体はプロの方にお願いして、あがってきた翻訳を僕がチェックして必要に応じて修正する形で進めました。結構お金かかりましたね、超赤字です(笑)なので無料公開しようかなって思って、寄付してくれる人だけ買ってもらえれば。後でリンク送ります。」

「ありがとうございます!」

 
 

取材後にDMで無料公開のリンクを共有いただいたのですが、私は既に購入済みでした。あまり表に出ていないような内容が書かれているので文献として興味深い内容が書かれています。

無料公開URL:http://jiyu.green/?p=3000
Kindleで買う:https://www.amazon.co.jp/dp/B074FBVDRX/

さいごに

インタビューの間、自由さんはずっと喋りっぱなしで、検閲の話やハッカソンの話など、余談としてはNamecoinの話やオランダでの大麻の話など、多くのことを語ってくれました。
ライトニングネットワークの話題については、実際に手を使って仕上がりを体験した立場として率直な意見を述べてくださるなど、貴重な話が聞けたと思います。
顔出しは断られましたが、暗号通貨の勉強会やハッカソンで緑色の服装をしている人がいたとしたら、その人が自由さんかもしれません。

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furusake-s

BCHNews編集長
セブンバニーズ株式会社 代表取締役
1982年生まれ、大阪府出身、B型
趣味はロードバイク、三国志大戦、イカを釣ること

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