BCHウォレット、Electron Cashのクラウドファンディングモジュールが開発される

2018.10.18

BCHNews編集部

こんにちは、BCHN編集部です。

つい先日、Electron Cashリード開発者のJonald_Fyookball氏が、Electron Cashにクラウドファウンディングモジュールを追加したとyours.orgで発表しました。

そこで、本日はElectron Cashそのものや、今回発表されたクラウドファウンディングモジュールの仕組みに関して簡単にご紹介しようと思います。

Electron Cashとは

Electron Cashとは、BitcoinCash(BCH)のSPV(Simplified Payment Verification)ウォレットです。
Windows、OSX、Linux、Android、iOSの各種OSに対応しています。

SPVとは、ブロックヘッダのみを受け取り、関心のある取引だけを調べるウォレットの仕組みのことです。
オリジナルのBitcoinクライアントを元にしたウォレットでは、全てのブロックを受け取りますが、SPVウォレットはブロックヘッダだけを扱うため、軽量な仕組みです。

また、Electron Cashは、誰でも簡単に新しいトークンを発行できるSLPという仕組みを導入したSLP Editionも存在しています。
SLPは、Simple Ledger Protocolの略で、トランザクション中のOP_RETURNとして知られる特殊なアウトプットを使用してトークン発行を実現します。
この新く発行したトークンはBitcoinスクリプト言語を使用して振る舞いをカスタマイズすることもできます。
SLP EditionはWindows版、Mac版のインストーラ、もしくはソースコードから導入することができます。

Electron Cashは、こちらのサイトから入手することができます。

Sighashフラグを使用したクラウドファウンディングの仕組み

今回の発表されたクラウドファウンディングモジュールは、トランザクションのSighashという仕組みを利用しています。
Sighashとは、通常全体に適用されるトランザクションへの署名を、どの部分に適用させるかを指定することができる仕組みです。

基本的には3種類のSighashフラグが存在します。

SIGHASH_ALL 署名を全てのインプットとアウトプットへ適用
SIGHASH_NONE 署名を全てのインプットのみに適用し、アウトプットへは適用しない
SIGHASH_SINGLE 署名を全てのインプットと、署名されたインプットと関連したアウトプットのみへ適用

加えて、装飾フラグとして”SIGHASH_ANYONECANPAY”というフラグが存在します。
このSIGHASH_ANYONECANPAYは、一つのインプットのみに署名を適用し、残りのインプットは変更可能のままにしておくフラグです。
上記の基本フラグと組み合わせて以下のようなフラグを作ることができます。

ALL|ANYONECANPAY 署名を一つのインプットと全てのアウトプットへ適用
NONE|ANYONECANPAY 署名を一つのインプットのみに適用し、アウトプットへは適用しない
SINGLE|ANYONECANPAY 署名を一つのインプットと、関連したアウトプットのみへ適用

今回発表されたクラウドファウンディングモジュールは、この内の”ALL|ANYONECANPAY”Sighashフラグを使用しています。
このフラグは次の手順でクラウドファウンディングに使用することができます。

  1. 資金を調達したい人が一つのアウトプットでトランザクションを構築する
  2. この時点ではインプットがないためトランザクションは無効
  3. 他の人々がそのインプットを補う形で、”ALL|ANYONECANPAY”フラグを使用して寄付・修正を行う
  4. 目標額に達成して初めてトランザクションが有効になる

例えば、100BCHのクラウドファウンディングの為にそれぞれが支払いたい任意の額のインプットに署名することで、総額100BCHのアウトプットを作成することができます。
ただし、総額が100BCHに満たない場合はこのトランザクションは成立しないため、それぞれが支払った金額は徴収されません。

正式リリースは未定

Jonald_Fyookball氏は、告知上で「これはまだ実験段階であり、正式リリースの前にまだたくさんのレビューとクリーンアップが必要な段階です。」と語っています。

一方で、現段階でのクラウドファウンディングモジュールの使用方法をスクリーンショットで公開しています。

スクリーンショットから、現段階ではUTXOセットからクラウドファウンディング用のインプットをGUIベースで簡単に選択し、送金できる仕組みであることがわかります。

Jonald_Fyookball氏は正式リリース時期については触れませんでしたが、告知上で次のように発言していることから、正式リリースは公式コミュニティーが整備された後になりそうです。

Also, keep in mind even once this is built, we will still need some other means of communication/coordination between users to post the projects, collect donations, etc. The wallet part just handles the transaction pieces.

[意訳]
覚えていて欲しいのは、一度これを構築しても、プロジェクトを投稿するユーザーや寄付を集めようとするユーザーなどとのコミュニケーションや調整の手段が必要になります。ウォレットの部分はトランザクションの部分を操作するだけです。

さいごに

Electron Cashウォレットは、本日ご紹介したクラウドファウンディングモジュールやSLP、先日ご紹介したばかりのCashshuffleプラグインの導入など開発が活発に進んでいる印象ですね。
上述したJonald_Fyookball氏の発言を鑑みると、正式リリースに合わせて専用のコミュニティー開発も進んでいきそうで、Electron Cashの今後に期待が持てそうですね。

最新情報はこちら

BCHNewsでは公式のTwitterアカウント(@bchnews_jp)を開設しました。
更新情報を配信しておりますので、よろしければフォローしていただけると嬉しいです。

BCHNews編集部

BCHNews編集部です。
日々更新される暗号通貨関連のニュースを読者の皆様にお届けします。

関連記事

Bitcoin Files Protocol(BFP) – BitcoinCashを利用したファイルストレージシステム

2018.10.17

by BCHNews編集部

BitcoinCash向けウォレットのMoney Buttonがローンチされる

2018.09.17

by BCHNews編集部

Bitcoin CashにおけるRabin Signatures

2018.09.25

by BCHNews編集部

BitcoinCashトランザクションの完全なデータベース、BitDB 2.0がリリースされる

2018.09.28

by BCHNews編集部