ZcashのアップグレードがアクティベートされSaplingが有効化される
2018.11.12
BCHNews編集部
こんにちは、BCHNews編集部のreiです。
先日、Zcash(ZEC)が予定されていた419,200ブロックで、無事アップグレードされました。
Success! We’re happy to announce that the #Zcash Sapling network upgrade activated today at block height 419200. #Sapling introduces new #shielded addresses with significantly improved performance. Learn more: https://t.co/IGoqNdlz3N pic.twitter.com/6VpKcMteCa
— Zcash Company (@zcashco) October 29, 2018
今回のアップグレードでZECは、Saplingが有効化され大幅なパフォーマンス改善とともに、新しくSapling Addressesを導入しました。
Saplingに関しては、過去の『Zcashのメジャーアップデート”Sapling”について、Sapling AddressesとTurnstile Migration』の記事でご紹介しています。
【過去記事】
『Zcashのメジャーアップデート”Sapling”について、Sapling AddressesとTurnstile Migration』
(https://bchnews.jp/bitcoincashnews-e/2858)
そこで本日は、Saplingについて簡単なおさらいとアップグレード後のZEC側のアナウンスをまとめてみようと思います。
Saplingとは?Sproutとの違いは?
まずは、Saplingについておさらいしようと思います。
以前のZECでは、リリース時に導入された”zc”で始まる98文字のアドレスであるSproutアドレスが標準で使用されていました。
しかし、ZECではゼロ知識証明を使用してユーザーの匿名性を付与しているため、トランザクションの作成にメモリと時間が必要でした。
今回から有効化されたSaplingアドレスは”zs”から始まる78文字のアドレスであり、従来のSproutアドレスと比較して、パフォーマンスが劇的に改善されました。
また、ZECのアドレスに関しては、複数人から支払いを受け取った時、ブロックチェーンから同じ人物に対する送金である事は分かりませんが、支払いを行なった人物同士が比較した場合は、その保護されたアドレスが同じ人物のものであると言うことが自明、と言う問題が挙げられていましたが、Saplingは同じ支出権限を持つ多様な支払いアドレスを効率的に作成できるようになったため、この問題の緩和をする事ができます。
Zcashの仕様書では、Sproutアドレスと新しいSaplingの支払い鍵のコンセプトとして以下の図が提供されています。
Zcashは、Sprout・Saplingのどちらでも、支払いを受け取りたいユーザーは、ランダムな支払い鍵を作る必要があります。
これは、それぞれ$a_{sk}$と、$sk$とよばれます。
矢印は、その要素から派生する要素を、二重線は同じ要素の別な形を示します。
仕様書によると、Saplingは同じFull viewing keyとIncoming viewing keyを使用することで、効率的に同じ権限を持つ多様な支払いアドレスを作成できるそうです。
詳細な部分は、仕様書をご参考ください。
現在は移行ツール開発中
ZECのアナウンスによると、アップグレードによって使用可能になった新しいSaplingのShieldedアドレスは、トランザクション作成時間を90%削減し、使用するメモリも97%削減する事ができたそうです。
ZECのソフトウェアバージョン2.0以降のユーザーは、Saplingアドレスを使用する事ができます。
しかし、偽造防止のため保護されていないt-addressを経由し、残高をSproutアドレスからSaplingアドレスを移す必要があります。
そのため、Saplingへの統合には時間が必要ですが、パラメーターの改善やBLS12-381カーブを使用する事で、ユーザーに利益をもたらすアップグレードとなっているそうです。
(アドレス移行の詳細は、前述の過去記事の「Turnstile Migration」の部分を参考にしてください。)
Saplingアドレスへの移行は、現状ではユーザーが手づから行う必要があります。
そのため、現在ZECは、ユーザーのプライバシーに与える影響を最小限にした移行ツールを開発しているそうです。
アナウンスでは、可能であればこのツールの開発を待ってから移行して欲しいとユーザーに呼びかけています。
また、ZECは今回のアップグレードで以下の様に語っています。
Making shielded addresses ubiquitous is at the heart of our mission. ‘Empowering everyone’ is more than just words to our team. In fact, it is the light that guides our sense of purpose and direction as we continue to innovate, create and experiment. We look forward to future milestones, outlined in our operational roadmap, that showcase how privacy is a pathway to economic freedom and opportunity.
引用元:https://z.cash/blog/sapling-activation-complete/
[意訳]
保護されたアドレスを遍在させる事は、私たちの使命の核です。”全ての人に力を”というのは、私たちのチームにとってただの言葉ではありません。実際、私たちが革新・創造・実験を続けていく中で私たちの目的と方向の意義を導くのはこの光です。私たちは、プライバシーがどの様に経済の自由と機会への道筋となるかを示す、運用ロードマップに示された将来のマイルストーンを楽しみにしています。
一言
本日は、先日行われたZECのアップグレードに関して、Saplingのおさらいをしつつ、その後のアナウンスをまとめました。
誕生から2周年を迎えたZECは現在、Saplingアドレスへの移行ツールを開発中とのことですが、どの様に実現されるかはまだ発表されていません。移行しやすくするためにも、早く移行ツールがリリースされると良いですね。
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